乗降客数最下位の鶯谷の次は、第1位の新宿駅。出口も、東口・西口・南口・東南口・新南口・サザンテラス口(他にもある?)があり、とてつもなく巨大な駅。
フリーハグを1度したぐらいでは、到底語り切れる駅ではないけれども、今回は個人的な好みで南口をチョイス。
日曜午前の新宿駅。南口の外には、学生団体さんが、振り付けとともにひたすら叫ぶパフォーマンスをしながら、東日本大震災の募金を募っている。うるさすぎるほど元気だ。
2015年1月にフリーハグを始めて気づいたことは、こういう人達がいてくれると、勝手に仲間意識が芽生えちゃうこと。方法は違うんだけれど、街中で何らかの手段を使って、世の中をよくしようと積極的に働きかけている。
近くでやらせてもらうことになるので、普段はほんとんどしない街頭募金に協力しつつ「近くで遊ばせてもらうね」と一声かけさせてもらって、スタート。
その後、新宿駅では、90分間で30人以上とハグを交わした。渋谷ハチ公前は、場所そのものが観光地。新宿駅の南口は、取り立てて観光地ではないが、そこは巨大な新宿駅。人通りも多いし、外国人もよく歩いている。それでいて、東口・西口ほど雑多なイメージはない。
60代ぐらいであろう仲の良さそうな外国人夫婦が2人とも満面の笑みを浮かべて近寄ってきてくれ、3人で同時にハグを交わす。「フリーハグは、とっても素敵なサービスよ」と奥さまが言葉を添えてくれて、元気に去って行く。
アメリカンな雰囲気あふれる女性がサザンテラス口側から横断歩道を渡って、ストレートに歩いてくる。ハグを交わし「日本人ですか?」と聞いてみると「そう、がんばって」とさらっと伝えて去っていく。格好良すぎてほれる。
「1度やってみたかったんです」と言って、近寄ってきてくれる日本人の女の子2人組。看板を持って立っていると、こういう声をよく耳にする。相手にとっての初めての体験になれることは、とても嬉しい。
前日に渋谷という楽園で、久しぶりにフリーハグをした。そのおかげで鶯谷後、十分に心のケアができたのか。だいぶ心も前向き。
最初は、人の流れの中には入らずに、流れと平行に看板を掲げていたけれども、いつの間にか人の流れの中に入って、ぐるぐると回りながら、FREE HUGSの看板を掲げつづける。
流れの中にいるので「うわ、めっちゃ見てる、めっちゃ見てる。負けたよ」といってハグしてくれる関西人のお兄ちゃん2人組がいたり、広島から来たというお兄ちゃんと「これなんですか?」という会話から、5分ぐらい雑談を交わしてハグをしてお別れしたり。
もはや、人の流れの中に入って看板を持って立っていても、なにも気にならなくなってくる。繰り返しの力って、本当にすごいよ。
衝撃だったのは、はち切れそうなトートバックを3つ抱えたゴスロリっぽい格好をしている女性に、何枚も写真を激写してもらったこと。名前を聞くと「ア○ルちゃん」と答える。さすが新宿、カオスだぜ…….。
彼女は自分で作った洋服を売ったり、いろんな駅でパフォーマンスをしたりしているらしい。いろんな逆境をくぐり抜けてきているであろうオーラが半端なかったので、駅近でパフォーマンスをしているときに、どのラインだと警察に注意をされて、どういう風に対応すればいいのか、みっちり教えてもらった。
結果、フリーハグの看板を持って立っていくことに、大きな安心感を持てた。どうもありがとう、ア…….ちゃん!呼びづらいわっ!
多くの人が利用する新宿という土地柄のおかげか、友人もぷらっと3人来てくれた。
2年ぶりぐらいに会う友人が後ろから現れて、「お~!」と反応。「ひさしぶり、ごめん!遅刻しそうなんで!」と言って彼はすぐに去って行く(笑)
他にも、友人がお子さんを抱っこして連れてきてくれたり、1年ぶりに会う友人よっこがわざわざ来てくれて30分以上はずっと話相手をしてくれたり。
「ここにいるだけで、どんどん承認される気がする」と、よっこに言ってもらえる。「そうそう、そうなんだよ」と。
普段って、“認められたい”から、なにか別な自分になろうとしちゃっていることがある。例えば、新しい知識や技術を身につけないと認めてもらえないって思いだったり、場の空気を読んで嫌われないようにニコニコしてみることだったり。
ところが、これは、ただ看板を持って立っているだけ。それでもハグをしに来てくれる人がいると、別に無理して余計なことをしなくても、自分のままでいればいいんだなぁと心の底から思える。その土台を体感できることって、とても貴重なことだと思う。
あと、知り合いにフリーハグの話をしたときに、よく聞かれることが「看板をもって街中に呼びかけているんだよね?」ということ。
いいえ。僕は「ハグをしませんか?」と街中に投げかけたことはありません。楽しみながらやったのは、3月のフリー雪の呼び込みぐらいか(笑)やりたくなったらするけど、無理しても疲れるし、続かないと思うから。
もちろんアイコンタクトやジェスチャーなどの非言語はたくさん使っているけれど、基本は“看板を持ってただ立っている”だけ。
どの駅のどの場所に立ったら、どれぐらい反応があるのか。よく分からない経験値が身体の中に貯えられていく。ここから先、僕はどこへ辿り着けるのだろう!
新宿の写真は、遊びにきてくれた。友人のよっこと☆