看板を掲げて10秒で女性が来てくれた巣鴨
フリーハグの看板を掲げて、10秒。「お願いしていいですか?」と女性が来てくれる。13駅目は、おじいちゃんおばあちゃんの原宿とも称される、巣鴨駅。
正面口を出たところで、観光案内のたすきを掛けた人が、ゆったりと民謡を歌っている。その隣では、新宿で見かけた学生団体が声を張り上げて募金活動をしている。
その中で、1人でフリーハグの看板を掲げはじめる。結果、とってもカオスな駅前。
90分間立ってみて、ハグを交わした人数は、6人。日曜日の午前中だけれども、思っていたほど人通りもなく、肝心のおじいちゃん・おばあちゃんには、英語だけの看板が意識されている様子もなかった。
ハグを交わしてくれたのは、パーティーに参加するようなお洒落な格好をしている外国人カップル。日本語とフランス語を交互に使ってくる、190cmオーバーの大柄のフランス人。「フリーハグってなんですか?」と聞いて、興味を持ってくれた20代の日本人カップル。
駅からニコニコと歩いてきた10代の女の子が「お兄さん、なにしているのー?」と話ながらハグを交わす。あまりに自然なので「フリーハグは、知っているの?」と聞くと、「しらなーい!でも、いいねー!」と(笑)
フリーハグの発祥は?
そもそも、フリーハグという活動の発祥は、2000年のアメリカ。最愛の母親を亡くした男性が、いつでも笑顔で人を抱きしめ、優しい言葉をかけ続けていた生前の母親にインスパイアされて、マイアミの海岸で始めた活動。
一気に有名になったのは、2004年にオーストラリアでフリーハグをやった男性のミュージックビデオがYoutubeで公開されてから。この動画は、2007年のYotubeビデオアワード インスピレーション部門に輝いた。
この動画に感化されて、世界中でフリーハグをやる人が続出する。日本でも、2007年~2008年頃に流行って、週刊誌に記事が掲載されたり、地上波のニュース番組で取り扱われてたりしている。
僕が知ったのも、2008年頃に観た上記の動画だった。どんな経緯で観たのかは、今となっては忘れてしまった。
それでも「見知らぬ人とハグできる世界があるなんて!」と心が大きく動かされたのは覚えている。もちろん動画を観たときは、まさか自分がやるなんて思ってもいなかったけど(笑)
様々なきっかけが重なって、2015年1月に初めてフリーハグにチャレンジ。その後、渋谷・原宿以外の場所に立ってみると「フリーハグ、懐いわ~」「最近見かけなくなったから嬉しいよ」なんて、声をかけてもらったりする。
1度、流行ったということは、この活動そのものに“人を惹きつけてしまうなにか”が存在していたということでもある。
なんのために活動しているのかは、人の数だけ答えがある
フリーハグの看板を持って立っていると、近くを通り過ぎる人達の話題がフリーハグに及ぶことがよくある。グループの誰かが「フリーハグってなに?」と聞くと、同じグループの仲間が説明してあげている場面に出くわす。
「愛に飢えている人がやるやつだよ」
「世界平和を訴えている人のやつでしょ」
「女の子とハグしたい男がやるやつ」
どれも真実。人の数だけ解釈や、活動に載せる想いがある。
それでも、僕が大事にしたいことは“周りに何を言われるか”ではなく、“自分はなんのために活動しているか”だ。
僕にとってフリーハグは、
「街中で知らない人と気軽に話せる」「勇気を出して自分から人に歩み寄れる」「いろんな国籍の人と触れ合える」「自分が欲しいものに正直生きられる」「オープンな自分でいられる」もの。
立つ側も来る側も、ちょびっと勇気がいるけど、お互いに勇気を出して飛び込んだ先に、全身でコミュニケーションを交わし、必ず笑顔になれる。
スケジュールを見て、見ず知らずの人が来てくれた・・・
後々に、メールを頂いて判明したこと。
冒頭の女性は、ネットで『フリーハグ』を調べたら、僕の山手線1周企画のスケジュールに辿りついたそう。ちょうど休みの日だったから、わざわざ千葉から、フリーハグとはどんなものかと見に来てくれたらしい。
これは、一言で言うと、“追っかけ”である!
ananの『抱かれたい男ランキング』に登場した気分である。うん。十二分に脳内が飛躍しすぎである(≧∀≦)
フリーハグに初めてチャレンジすることは、その先が見えなくて、とても怖いことかもしれない。それでも、1歩、飛び越えてみると、想像を超えた現実を連れてきてくれる。
そんなことを何度も感じさせてくれる素敵な活動だと思う。