「今、就活の面接が終わったところです。フリーハグ、初めて見ました」
「メキシコから初めて日本にきた。日本人はすごい。とても親切にしてくれる」
「私はマレーシアから来ました」
「宮城から修学旅行で来てます」
「今、車だから、すぐに行かないとなんだけど、ハグいいですか?」
「フリーハグはすごく素敵なサービスよ」
原宿に住んでから2年9ヶ月。世界中の観光客が、明治神宮、竹下通り、表参道を訪れているのを指をくわえて眺めていた。
「自分から声をかけたいなぁ・・・でも英語もそんなにできないし、道案内もしっかりできるか分からないし・・・」
そんな想いを抱いたまま、特に観光客と交流することもない日常が過ぎ去っていった。
今まで当たり前だった僕の日常を、たった1枚の看板がいとも簡単に書き換えてくれる。僕が手にしている看板は“魔法”だなって思える。
ただ、持っているだけでいい。積極的に街中で声をかける必要もない。アイコンタクトをする程度でいい。
それだけで、人とのご縁をたくさん生みだしてくれる。訪れた事のない国の人と気軽に話せる。車に乗っていた黒スーツの叔父様がわざわざ車を降りて、ハグをしに来てくれる。初めて東京を訪れたであろう学生さんたちと交流が生まれる。
ひとりひとり、歩み寄り方も違う。ハグの仕方も違う。そこに香る香りも違う。身体の暖かさ、頬の柔らかさも違う。もちろんかけてくれる言葉も違う。
一番多く聞かれる「なんのためにやっているんですか?」という質問に、僕はいつもこう答える。
「ただ楽しいからです。こうやって話す機会ができたじゃない?」と。
看板を掲げることは、世界に対して自分が欲しい物をオーダーすること。自分から世界に歩み寄ること。積極的に交流する姿勢を打ち出すこと。
今まで自分が持っていた人との距離感はなんだったのだろう?
いつの間に、欲しい物を素直に欲しいと言えなくなってしまったのだろう?
9回目にして、初めて、ハチ公前以外で看板を掲げた。大好きな明治神宮の、目の前の神宮橋にて。冒頭の言葉は、すべて今日出会った人達の言葉。
山手線29駅に立つフリーハグのSTART。ここを皮切りに、丁寧に積み重ねていきます。恐らく一生に一度の体験になるからね♪