祖父が僕に残してくれたもの

亡くなる日。それは必ずやってくる。
昨年6月5日。おじいちゃんが亡くなった。

病院に入院したと聞いてから、
正直会いたくなかった。
いや、会うのが怖かった。
元気だった人が老いていく姿
から目を背けたかった。

それでも、最後の1ヶ月は
毎週お見舞いにいった。

亡くなる3日前が
最後のお見舞いだった。

老衰で喉に溜まった痰を
自力で飲み込むこともできない。

看護婦さんに定期的に
チューブで痰を吸ってもらう必要があった。

ぼけても、体力が低下しても、
喉の奥にチューブを入れられて
痰を吸い取られる度に、
苦痛で顔を歪めて声をあげていた。

その日も、痰をチューブで
吸われたあと、涙目になっていた。

「もう帰るね、また来るね」
今までも病室を出るときに、
そう伝えていた。

その日は、涙のにじむ目で
僕の目を見ながら、
はっきりこう伝えてくれた。

「ありがとう」と。

ふと、おじいちゃんと一緒に
霊安室で過ごしているときに思った。

孫に最後にかけてくれる言葉が「ありがとう」だなんて。
なんと格好いいじいちゃんだったのだろうと。

今年の夏。
ハニーを連れて、
おじいちゃんとの
思い出がつまっている、
岩手県釜石市に行った。

16年ぶりにおじいちゃんの
家があった場所まで歩いた。

小学生の頃、夏休みに毎年
通ったその場所は、16年前に
売りに出してしまった。

目の前まで行けるのに、
あの頃のように家の中で、
ゆっくりかもめの卵を
食べることはできない。

家の前で引き返さなければならないとき、
なんとも寂しい感情がこみ上げた。

すべての瞬間は、
その時だけしか味わうことができない。
だから、愛おしいし、
大切な時間なんだ。

子どもを育て上げて、
孫の成人を見届ける。

僕は、まだ、
その1歩目にも立っていない。

本当に偉業だ。

僕が生まれたとき、
既におじいちゃんは60歳だった。
その歳になるまでにも25年がある。

格好良くて、働き者で、ユーモア溢れる人だった。

再会できる日に、何を報告できたら満足できるだろうか?

亡くなる日。それは必ずやってくる。

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